しかし不動産の相続は財産という観点から見てもプラスの要素だけではなく、むしろマイナスになってしまうこと、「この土地はいらない」、となってしまう事例もあります。
前回は不動産相続の名義変更に関して紹介しましたが、今回は相続の放棄についてご紹介したいと思います。
相続放棄とは?
では、不動産の相続を放棄するとはどういうことなのでしょうか。
相続人にとって、相続した不動産は必ずしもその人にとって有益とは限らず、田舎にある山林や農地を始めとした土地や、遠方の地に物件を所有する場合には、その不動産を望まない、というケースも多くあります。
相続放棄とは、そのような望まない財産の相続を一切放棄することであり、不動産の所有をしないという申請手続きを国に提出する必要があります。
◇相続放棄の手順と必要書類
相続放棄の手続きの流れを簡単に説明すると、相続すべき不動産があると知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ、「相続放棄申述書」を提出して申し立てをしなければなりません。
※申し立てを行う先の家庭裁判所は、被相続人の居住していた地域の裁判所になります。
必要書類
・被相続人の住民票除票又は戸籍附票
・相続人の戸籍謄本
・申請書
以上が基本的な必要書類にはなりますが、被相続人との戸籍上の関係性によって各々必要な書類が変わってきますので、そちらは確認を行ったうえで手続きする必要があります。
相続を行っても土地建物の管理は義務
不要な土地や建物などの不動産を相続廃棄することで、固定資産税の支払いは行わなくてよくなりますが、管理義務を放棄することはできません。
例えば、相続放棄した家屋が倒壊の危険がある場合、その家屋の管理は相続放棄をした相続人が行わなければならないので、発生した損害や事故などの補償や損害賠償を請求される場合もあります。
管理の義務を免責にするには、代わりに管理の義務を背負ってくれる「相続財産管理人」を選定しなければなりません。
多くの場合、弁護士に依頼をして相続財産管理人となってもらいます。
その際の申し立ても、家庭裁判所で行います。
また、相続財産管理人を弁護士に依頼する場合には、依頼料も数十万円、場合によってはそれ以上かかることもあります。
相続人が複数いる場合は、相続人同士でその土地や建物に対してどのような対処をするのか、しっかり話し合っておくことが大切です。
放棄や管理にもお金はかかりますから、そちらの役割や責任を明確にしないと、トラブルの原因になります。
おわりに
メリットばかりではない、不動産の相続。
相続放棄が難しい場合は売却するか自治体に寄付するしかありませんが、売却したくとも買い手がいない限りは、維持費や管理費などは払い続けなければなりません。
また自治体に寄付しようとも、自治体もその土地や建物に価値がなく活用できないのであれば、寄付を受け付けませんから難しい場合が多いようです。
今回は不動産の相続放棄に関する情報についてまとめましたが、私たちグローバル不動産では、京都・大阪エリアの相続に関するご相談も承っておりますので、気になる点など御座いましたらお気軽にご連絡ください。