近年、ゲリラ豪雨や巨大台風の発生によって、深刻な水害が各地で増加しています。
そのため不動産売買契約の際は、水害に関する情報を開示しなければならないということをご存じでしょうか。
水害が増加する現代において、浸水想定区域にある家の売却価格への影響や売却時に知っておきたいポイントについて解説します。
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弊社へのお問い合わせはこちら家を売却する前に知っておきたい浸水想定区域とは?
不動産契約の際に実施される重要事項説明に関して2020年に法改正があり、物件が浸水想定区域にある場合には買主への告知が義務付けられました。
この流れは大型台風が頻発した2019年の被害総額が統計開始以来もっとも大きな額になったことや、被害が年々深刻になっていることが影響しています。
ここでは浸水想定区域とは何か、そして所有する不動産が区域内に入っているかを確認する方法をご紹介します。
浸水想定区域とは?
浸水想定区域とは、水害が発生した際に浸水が想定される区域のことです。
側溝や排水路、堤防などでは処理ができないほどの大雨が降ったときに、建物や道路への浸水被害が予測される地域だと把握しておきましょう。
水害リスクは近年の気候変動を踏まえて2015年に法改正され、より厳しい基準が想定されています。
ここ数年、日本各地の雨の被害は多く、かつて経験したことのない大雨によって被害を受けた方は少なくないでしょう。
以前は「50〜150年に1度の大雨」を想定していましたが、現行の浸水想定区域は「1000年に1度の大雨」を想定した被害を基準にしています。
浸水想定区域の種類は以下の3つに分けられます。
洪水浸水想定区域
洪水浸水想定区域とは、河川の氾濫による浸水リスクが高いエリアです。
想定できる最大の降雨量と河川の整備状況によって、浸水エリアが指定されています。
近くに川が流れている地域の方は注意が必要です。
内水浸水想定区域
内水浸水想定区域とは、下水道の排水処理が追い付かなくなるほどの降雨が発生したときに浸水が想定される区域を指します。
浸水は川の近くほどリスクが高いと一般的に認識されていますが、内水浸水想定区域は都心部に多いため、注意が必要です。
高潮浸水想定区域
高潮浸水想定区域とは、最大規模の高潮が発生することによって浸水が想定されるエリアです。
高潮とは台風や低気圧によって海面が異常に上昇する現象であり、海水が陸に侵入し堤防の決壊や排水機能の低下などの被害が想定されます。
海が近い地域では、高潮浸水想定区域に注意が必要です。
浸水想定区域の確認方法
では、浸水想定区域はどのように確認できるかを解説します。
売却する際には、所有する不動産が浸水想定区域に指定されているかどうかを確認しておきましょう。
浸水想定区域は、国や都道府県が作成している「洪水浸水想定区域図」と、市町村が作成している「洪水ハザードマップ」によって確認できます。
国や都道府県、市町村は水防法に基づき、どの場所でどのようなリスクが高いかをまとめています。
洪水浸水想定区域図と洪水ハザードマップはどちらも浸水リスクを把握できるのと同時に、水災がおこったときに迅速に安全な場所に避難する助けになるでしょう。
とくに洪水ハザードマップには避難場所や避難経路が記載されているもので、防災の備えとして大切な情報を網羅しています。
役所で閲覧・入手が可能なので、確認してみると良いでしょう。
浸水想定区域の家の売却価格への影響とは?
所有する家が浸水想定区域にある場合、売却価格への影響が不安になるのではないでしょうか。
浸水想定区域にある家を売却するときの価格への影響について解説します。
浸水想定区域であっても価格が下がる理由にはならない
結論から申し上げて、売却する家が浸水想定区域にあるという理由だけで売却価格が下がるということはありません。
というのも、原則として浸水リスクは不動産価格に織り込み済みなので、さらに価格を下げて売却する必要はないからです。
不動産の評価額は、国家資格を持っている不動産鑑定士が評価基準に則って公平に判断しています。
評価基準においては、浸水の危険性などのマイナス面も考慮され、その結果として価格が設定されていることを把握しておきましょう。
浸水想定区域であることで価格が下がるケース
家が浸水想定区域に建っているということだけで売却価格が下がることはありませんが、以下のケースでは価格に影響が出る可能性があるので注意しましょう。
まずご紹介するケースは、「新たに浸水想定区域に含まれたエリア」「想定される浸水被害の規模が大きいエリア」です。
日本は海に囲まれた島国で川がたくさん存在するため、河川周辺のほとんどは浸水想定区域に指定されています。
そのため浸水想定区域は珍しいことではなく、売却に対して悲観することはありません。
ただし、近年新たに浸水想定区域に含まれたエリアは、他の地域と比べて価格が下がってしまう可能性があるでしょう。
また、他の浸水想定区域と比較して被害想定が深刻なエリアに関しても、需要が少ないことが想定され、価格を下げざるを得ない状況になる可能性があります。
次にご紹介するケースは、「過去に浸水被害にあった家」です。
浸水想定区域にある家でも過去に浸水履歴がないと買主は安心し、購入に前向きになるでしょう。
しかし、過去に浸水被害にあったことがある場合は、また被害にあうのではないかと考えるのが心理です。
浸水被害にあった家は、価格が下がる可能性があることを把握しておきましょう。
浸水想定区域の家を売却するときのポイントとは?
最後に、浸水想定区域の家を売却するときに気を付けたいポイントについてご紹介します。
できるだけ高く、スムーズに売却できるよう売却のコツを掴んでおきましょう。
売却するときのポイント①早めに売却活動を進める
天災はいつ起こるかわからないので、家が浸水被害にあう前に早めに売却することがポイントです。
1度被害にあうと売却価格が下がったり、買主が見つかりにくくなったりと、デメリットが多いため、売却前に浸水被害にあうことはできるだけ避けたいです。
台風やゲリラ豪雨のシーズン前に売却できるよう、計画的に手続きを進めておくと良いでしょう。
浸水被害にあっていない家の場合は、たとえ浸水想定区域にあったとしても市場相場と同等の価格で売却できる可能性が高いです。
水害は各地で頻発しているので、油断せずに売却に向けて早めの行動を心がけることがポイントです。
売却するときのポイント②ホームインスペクションをおこなう
ホームインスペクションとは、専門の知識を有する建築士やホームインスペクターが家の劣化状況や欠陥を調査し、メンテナンスやリフォームの必要性を診断するサービスです。
住宅診断とも呼ばれています。
ホームインスペクション済みということは買主にとって大きな安心材料であり、購入を後押しする要素になるでしょう。
ホームインスペクションは5〜10万円程度の費用がかかることが一般的です。
安くはない金額ですが、売れ残ることを考えればメリットが大きいのではないでしょうか。
第三者が診断するホームインスペクションによって、家に浸水被害などの欠陥がないことを証明してもらうということは、家をスムーズに売却するためのポイントです。
まとめ
当社では上記のような物件もお取り扱いしております。
浸水想定区域にある家は、買主から敬遠されるのではないかと不安になるかもしれませんが、ほとんどの場合が価格を落とさずに売却できます。
高く売るためにも、ご紹介した売却時のポイントを押さえて売却活動をおこないましょう。