不動産を売却して利益が生じた場合、その利益に対して税金を納める必要があります。
納める税金は、譲渡所得をもとに計算されます。
本記事では、譲渡所得の計算方法と取得費や譲渡費用に含まれるものについて解説していきます。
計算方法や所得から控除できる項目を把握することで、節税額が高くなる可能性があります。
まずは、譲渡所得の計算方法を解説します。
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譲渡所得の計算式は以下になります。
「譲渡所得=収入金額-取得費-譲渡費用」
収入金額とは、譲渡した際の売却金額となります。
取得費は、不動産の購入代金や購入時にかかった仲介手数料などが当てはまります。
譲渡費用は、売却時にかかった仲介手数料や印紙代金などです。
取得費と譲渡費用については後ほど解説します。
譲渡所得に所定の税率をかけたものが、実際に納税する金額となります。
「納税金額=譲渡所得×税率」
税率は所有期間によって異なります。
短期譲渡所得・長期譲渡所得
所有期間は、5年以下、5年超10年未満、10年超の3つの区分に大別されます。
所有期間が5年以下の場合、短期譲渡所得となり所得にかかる税率は39.6%です。
5年超の場合、長期譲渡所得となります。
5年超10年未満では、所得にかかる税率は20.315%です。
10年超所得していた場合は、10年超所有軽減税率の特例が適用されると、譲渡所得6,000万円以下では税率14.21%となります。譲渡所得が6,000万円を超えた部分については5年超10年未満と同率の20.315%の税率が適用されます。
期間ごとの税率をまとめると以下になります。
●所有期間5年以下:39.6%
●所有期間5年超10年未満:20.315%
●所有期間10年超:14.21%(譲渡所得6,000万円まで)
●20.315%(譲渡所得6,000万円を超えた部分)
所有していた期間が長ければ、かかる税率は低くなります。
つまり、短期より長期保有の不動産の売却の方が、支払う税金を抑えることができます。
所有期間の考え方
所有期間は、不動産を売却した年の1月1日時点で何年が経過しているかで判断します。
たとえば、2017年5月1日に取得した不動産を、2022年5月2日に売却したとします。
実際には満5年を経過していますが、2022年1月1日時点(売却した年の1月1日時点)では5年未満になります。
そのため、5年以上所有(長期譲渡所得)の税率が適用されるのは、2023年1月1日以降となります。
次に、取得費はどのようなものを指すのか具体的に解説していきます。
取得費に含まれるもの
具体的には以下のようなものになります。
●不動産の購入代金、建築代金
●購入時の仲介手数料
●修繕費以外のリフォーム費用
●購入時の登録免許税、不動産取得税
●契約締結時の印紙代金
●購入資金の借り入れ利子、住宅保証ローン
●土地の造成費用
仲介手数料、リフォーム費用、登録免許税、不動産取得税について解説します。
仲介手数料
売却を考えた場合、不動産会社を仲介して取引することが多いでしょう。
その際の仲介手数料は取得費に含むことができます。
土地と建物を同時に購入する場合、土地部分と建物部分で分けて仲介手数料を計算することが必要になります。
分けて計算ができない場合は、土地と建物の価格の比率を用いて計算します。
リフォーム費用
建物の価値や耐久性を高める工事費用は、取得費に含むことができます。
たとえば、建物避難階段を新たに取り付ける、畳からフローリングに張り替えるなどの費用が該当します。
現状を維持するためにおこなわれる工事費用は、修繕費に該当します。
修繕費は取得費に含まれません。
修繕費は、部屋の壁紙の張り替えや畳の表替えなどが該当します。
借り入れ利子・住宅保証ローン
購入時に借り入れれた資金に係る利子や住宅保証ローンについても、取得費にできます。
ただし、不動産利用開始前に係る利子は取得費となり、利用開始後は必要経費に分類されます。
登録免許税・不動産取得税
登録免許税とは、所有権移転の登記をおこなう際にかかる税金です。
登録免許税は、固定資産税評価額の2%がかかります。
(※軽減措置適用の場合1.5%:令和5年3月31日までの特例措置 財務省参照)
続いて、不動産取得税とは、不動産を取得した際にかかる税金です。
こちらは固定資産税評価額の4%がかかります。
(※住宅および土地は3%:令和6年3月31日までの特例措置 総務省参照)
ただし、賃貸などの事業用で収益が発生するものについては、登録免許税および不動産取得税は必要経費に算入されます。
実額取得費・概算取得費
ここまでどのようなものが含まれるか具体例を挙げました。
購入時の代金、仲介手数料、リフォーム費用、借り入れ利子・住宅保証ローンなどを合計した金額から、減価償却費を引いたものを実額取得費といいます。
対して、「収入金額(売却金額)×5%」で計算した金額は概算取得費といいます。
実額取得費と概算取得費を比較し、大きい金額の方を取得費として扱います。
減価償却費とは
一般に建物や設備などの資産は、時間の経過とともに価値が減少していきます。
定額法による減価償却費は以下の計算方法となります。
「減価償却費=不動産購入代金×0.9×償却率×経過年数」
償却率は、鉄筋コンクリートやれんが造など建物の構造により変動します。
経過年数の1年未満の端数は6か月以上は1年、6か月未満は切り捨てて計算します。
次に、譲渡費用に含まれるものについて解説します。
譲渡費用に含まれるもの
譲渡費用に含まれるものは具体的には以下のようなものがあります。
●売却時の仲介手数料
●売却に伴う測量費
●建物の取り壊しの解体費
●契約書にかかる印紙代
●賃貸建物を売る際にかかる立ち退き料
●借地権を売るときの名義書換料
仲介手数料、測量費、解体費について解説します。
仲介手数料
売却時にかかった仲介手数料は、譲渡費用に含まれます。
仲介手数料は、宅地建物取引業法で上限が決まっており、上限額は下記になります。
「売買金額×3%+6万円+消費税」
上記計算はあくまで上限金額のため、譲渡費用に含まれるものは実際に支払った仲介手数料の金額となります。
測量費
土地の大きさや境界線の確定のために、機械を用いて形状や面積を測ることを測量といいます。
登記簿謄本に記載の面積を基に売買契約をおこなうことも可能ですが、現地の面積と誤差が生じている場合もあります。
また、所有している土地の境界線が曖昧だとどこまでを売ることができるか分かりません。
正しい査定をおこなうために売却時に測量し、土地の面積や境界線を明らかにすることがあります。
売るために土地家屋調査士などに依頼して測量をおこなった測量費は、譲渡費用に含まれます。
建物の解体費
土地を売る際に、土地に建てられた建物を解体する場合もあります。
その際にかかる建物の解体費も譲渡費用に含むことができます。
ただし、売却時よりもかなり前に解体した場合、譲渡費用に含むことができない可能性もあるため注意が必要です。
まとめ
不動産売却時の譲渡所得は、収入金額(売却金額)から取得費と譲渡費用をひいて求めることができます。
そして、譲渡所得に所有期間で異なる税率を適用することで、売却時の納税額を計算することができます。
売却金額から取得費と譲渡費用をひいたしたものが課税所得になるため、取得費や譲渡費用の対象になるものを売却時に確認することが重要です。
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