間取り図を見ていると、「3LDK」の部屋と同じような間取りなのに、「2LDK+S」と表記されていることがあります。
この「S」とは、「サービスルーム」のこと。
「サービスルーム」とはどのような部屋なのでしょうか?
通常の居室との違いや活用法についてもご紹介します。
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「サービスルーム」とは、「採光」や「換気」の基準が建築基準法上で定められた「居室」の基準を満たしていない部屋のことを指します。
「居室」は人が長い時間過ごすことを想定しているため、建築基準法で
採光に必要な窓などの開口部が床面積の1/7以上
換気に必要な開口部が床面積の1/20以上
という要件があり、これを満たさなければ「居室」と表記できません。
不動産広告の間取り図に書かれる1畳の大きさは約1.62㎡が目安。
6畳の部屋の場合、広さは約9.72㎡となりますので、採光の基準を満たす開口部の大きさは約1.39㎡、換気の基準を満たす開口部の大きさは約0.49㎡となります。
間取り図でよく用いられる略称では、サービスルームは「S」と表記されています。
ちなみに窓のない小部屋を指す「納戸」は「N」と表記されていますが、実は「納戸」と「サービスルーム」には明確な違いはなく、どちらも建築基準法では「居室」と認められません。
最近は、「書斎(DEN)」や「フリールーム(F)」といった表記の間取り図もありますが、サービスルームと定義上の違いはありません。
居室と変わらないような広さや窓があっても、窓の前に階段やエレベーター、建物などがあったり、内廊下設計のマンションなどの場合は、採光が取れる開口部にカウントされないため、「サービスルーム」と表示されていることがあります。
また、窓はあっても開け閉めができないFIX窓の場合は、換気ができる開口部にはカウントされません。
このように、建築基準法上の「居室」と認められなくても、日中過ごさない寝室として利用するなど、工夫して居室と同じように使うこともできます。
間取り図にある通常の「居室」と「サービスルーム」の違いとは
「居室」とは採光や換気が建築基準法上の基準を満たしている部屋のこと。
リビング(L)、ダイニング(D)のほか、和室や主寝室、洋室などのように、○LDKという表記の数字部分で示される部屋のことです。
対して、「サービスルーム(S)」や「納戸(N)」は「○LDK+N」「○LDK+S」というように+の後に表記されます。
マンションであれば低層階の廊下側の部屋、戸建て住宅では道路から奥まった位置にある部屋がサービスルームと表記されているケースが多くなります。
同じマンションの同じ間取りの部屋でも、上層階では「3LDK」、下層階で「2LDK+S」と表示されていることもあります。
通常の居室と変わらない広さがあり、換気のための窓が確保されていれば、日中使わない寝室や書斎、子ども部屋として使うのに適しています。
しかし、窓がない部屋の場合はエアコンが設置できなかったり、コンセントが設置されていないケースもあるため注意が必要です。
リモートワークスペースや寝室など長時間過ごすことを想定している場合は、とくに換気に配慮しましょう。
メリット
同じ広さでも、サービスルームがある物件は価格が安くなる傾向があり、利用目的によって採光や換気が必要ない場合には家賃が安かったりお得に購入できることがあります。
納戸として使えば、クローゼットに納まらないものが収納でき、家全体の収納力がUPします。
また、太陽光が入り込まないことで衣類や書籍、道具などが日焼けしないため、劣化を防ぐこともできます。
天井高が1.4m以下のサービスルームは固定資産税の評価対象外となるため、戸建てを新築する際には収納力UPのためにあえてサービスルームを設けるという手もあります。
換気がしっかりと確保されていれば、テレワークスペースやシアタールームなど目的に応じた目的に特化した空間として活用することもできます。
デメリット
サービスルームは建築基準法上の居室ではないため、設計のときに居室と同じ設備を設けると行政指導を受けてしまうことがあります。
そのため、エアコン用のコンセントやスリーブ(穴)が設置されていなかったり、コンセントがなかったりなど、通常の居室にはあるような設備が設置されていないことがあります。
換気ができない場合は、除湿機などを設置して湿気やカビ対策をおこなう必要があります。
また、窓がない「納戸」や、広さが4畳以下であったり、形状が細長くベッドなどの家具が入らないなど通常の居室としては使いにくい部屋もあります。
間取り図にあるサービスルームの活用例とは
工夫次第で通常の居室と同じように使うこともできるサービスルームですが、アイデア次第でよりライフスタイルにフィットした使い方もできます。
いくつかサービスルームの活用例をご紹介しましょう。
趣味や仕事など目的に特化した空間に。
リモートワークスペース
働き方改革やコロナ禍で一気に定着したリモートワークですが、生活スペースで仕事をすると、テレビが気になったり、家族のおしゃべりが気になって集中力が切れやすかったりといったデメリットがあります。
そんなときはサービスルームに本格的なデスクやチェア、プリンタなどの機器を置く棚などを用意して本格的なリモートワークスペースを確保するのもおすすめです。
生活の場とワークスペースをしっかり分けることで、集中力もUPします。
ただし、長時間過ごすことになるワークスペースとして使う場合は、小さくても窓があるなど、換気がしっかりと取れるかどうかを事前に確認しておきましょう。
シアタールーム
サービスルームは通常の居室より採光が少ないことが特徴。
その特徴を活かして、プロジェクターやスクリーンを設置してシアタールームにするのもおすすめです。
音響にもこだわれば、リビングとは違う雰囲気で映画に没頭できることでしょう。
トレーニングルーム
YouTubeには自宅に居ながらにできるトレーニング動画が充実しており、ヨガや筋トレなどの運動を自宅でおこなう人も増えています。
市販のワークアウトグッズなどもお手軽なものから本格的なものまで充実していますので、サービスルームをヨガなどのトレーニングルームとして使うのもおすすめです。
ゲストルーム
交友関係が広いという人は、サービスルームをゲストルームとして利用するのもよいでしょう。
音楽室/スタジオ
サービスルームは開口部が小さい、または設けられていないことも多いため、お子さまのピアノ練習など、楽器を演奏するスペースにも適しています。
壁を防音壁にして本格的なスタジオにすることも可能。
ただし、マンションの場合は管理規約に演奏時間が定められていることが多いため、規約に従いましょう。
大容量の収納空間に。
ファミリークローゼット
サービスルームに窓がない場合は収納スペースに最適です。
造作棚やハンガーパイプを取り付け、家族全員のファミリークローゼットにすることで、洗濯物の片付けがまとめてできるので家事動線の効率がUP。
衣替えの手間も不要になります。
アウトドア用品の保管場所
Youtubeなどでもキャンプをテーマにした動画が流行しており、週末は都会の便利な生活をリセットしてアウトドアを楽しむ人が増えています。
しかし、アウトドア用品はテントやテーブル、釣り道具などをはじめとして嵩張るものも多く、一般的なクローゼットに収納するのは難しいのも現実。
窓が小さく壁画の多いサービスルームなら、キャンプグッズや釣り用品、スキーやスノーボードの道具など、サイズの大きなアウトドア用品を収納するスペースにするのもおすすめです。
書庫
近年は書籍の電子化も進んでいますが、漫画や趣味の本などは読書好きな人にとっては捨てられないものですよね。
造り付けの本棚を設置して書籍の収納力をUPすれば、思う存分趣味の書籍を集めることもできます。
まとめ
「採光」や「換気」が建築基準法で定められた基準を満たしていない「サービスルーム」は通常の居室とみなされないため、家自体の価格が抑えられていることも多くなります。
しかし、趣味を充実させたい、大容量の収納がほしい、テレワークスペースが必要といった個別のライフスタイルに注目すれば、むしろ使いやすいということもあります。
それぞれの間取りのメリット・デメリットを踏まえ、ライフスタイルに合った住まい選びができると良いですね。
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