高齢化社会が進む日本。
2018年発表の国民生活センターの調査によれば、65歳以上の事故のうち、約70%が住宅の中で発生しています。
住宅内の事故のうち、最も割合が高いのは階段での事故です。
足が不自由な高齢者や車椅子を利用する方にとっては、若いときは自由に上り下りできた自宅の階段が危険なものになっているのです。
今回は自宅の階段の移動をスムーズにする「階段昇降機」について、設置するメリットや設置条件、初期費用・ランニングコストなどについて解説します。
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階段昇降機とは、機械の力によって階段を昇り降りする介護装置のこと。
けがや病気で足が不自由な方や、足腰が弱ってしまい階段の登り降りが困難な高齢者が安全に階段を登り降りするために利用します。
階段の横の壁にガイドレールを設置して、レールに沿って斜めに階段を移動します。
利用者が直接いすに座って移動する「いす式昇降機」と、車椅子のまま移動できる「車椅子型昇降機」があり、それぞれ目的が異なります。
「いす式」は運動機能に問題がある方が一人暮らしをする場合や、介護者の負担を軽減する目的で取り付けられます。
車椅子型は車椅子の方が一人でも階段を登り降りできるように設置されるものです。
どちらも屋外用と屋内用があり、設置条件も異なります。
階段昇降機の役割
体が不自由な方にとって、階段の登り降りは万が一転落してしまえば命に関わる怪我につながる可能性があり、大きな危険を伴う行為です。
階段昇降機は体が不自由な方のスムーズな移動を助けることで命を守る装置です。
また、介護者にとっても、階段の登り降りの介助は大きな負担を伴います。
介護者は女性が多いため、体格の大きな男性を介助して階段を登り降りすることはほぼ不可能。
無理して行うと双方が大怪我を負うリスクもあります。
また、急速に高齢化が進む日本においては介護施設の不足や介護スタッフの不足は深刻な問題です。
日常生活に特に支障はなく、階段の登り降りだけスムーズにできれば良いという高齢者には、階段昇降機は非常に有効な選択肢となります。
階段昇降機を設置するメリット
自宅の上階を有効活用できる
階段の登り降りがスムーズにできなければ、足の不自由な人の生活の場は1階だけに限られてしまいます。
お風呂場やキッチンなど生活に必要な水回りが2階以上にある場合は、それだけで生活が成り立たなくなってしまいます。
かと言ってそのために家を建て替えたり、エレベーターを設置するのは膨大な費用がかかります。
階段昇降機を使えば、上階に水回りがあっても気兼ねなく使うことができますし、スペースを有効活用することができます。
エレベーターと比べて設置しやすく、費用が安い
階段昇降機の設置は自宅の階段の壁に行うことがほとんどです。
そのため、エレベーターのように構造や間取り上の問題で設置できないということが少なく、設置しやすいことが特徴です。
また、エレベーターのように大きな機械を使わないため、設置費用も安く済みます。
介護する側の負担を減らせる
階段の登り降りの介助は、専門の介護員でもかなりの体力を要し、また、大変危険を伴うものです。
家族には難しいことも多く、そのために介護施設に入るという高齢者も多くいます。
階段昇降機を使うことで、家族に負担をかけずに住み慣れた家に住み続けることができます。
階段昇降機の設置条件
階段昇降機が設置できる場所にはいくつかの条件があります。
自宅の条件を確認し、設置場所に合うタイプを選ぶことが大切です。
階段の幅が確保されているか
十分な階段の幅があるかどうかを確認する必要があります。
直線階段の場合は約70cm程度、曲がり階段の場合は約75cm程度。
一般的な住宅の場合は問題ありませんが、築年数が古い住宅は階段の幅が狭いケースがあり、その場合は設置が難しくなるため確認が必要です。
停止場所が確保されているか
階段昇降機椅子には足台・座面や肘掛けが付いています。
利用していない時は階段下に停止してあるのですが、これが階段を塞いでしまい、普段歩いて階段を利用する人が通りにくくなってしまうことがあります。
折りたたみ式の椅子もありますが、それでもある程度(35cm程度)の幅をとるため、階段の下にある程度のスペースを確保する必要があります。
階段下に十分なスペースがない場合は、踊り場などに普段停止しておくためのスペースを取ることも可能です。
ただし、その場合は下で説明するコンセントの問題が出てきます。
コンセントが確保されているか
階段昇降機の動力源は本体に搭載されたバッテリーです。
そのため、停止場所の近くに充電するためのコンセントが必要になります。
必要な電圧は100Vで、通常の住宅に設置されたコンセントと同じものです。
もし停止場所にコンセントがない場合は、新たに設置する必要があります。
階段昇降機の停止場所を階段の途中に設定している場合、コンセントの増設だけでなく、介護者が充電のためにコンセントを挿す必要性が生じます。
階段昇降機のおおよその設置費とランニングコスト
一般的な戸建て住宅に階段昇降機を設置する場合、設置費用はどれくらいかかるのでしょうか。
またランニングコストについてもご紹介します。
設置費
一般的な直線の階段に「いす式昇降機」設置する場合、設置費用はメーカーにもよりますがおおよそ約50万円程度となっています。
曲がり階段の場合は施工の難易度が上がるため、総額150万円程度となります。
「車椅子型昇降機」の場合は、車椅子と人を移動させるため総重量が重くなります。
そのため本体価格が大きくなり、総額80万円程度かかります。
これは一般的な直線階段に設置する場合で、曲がり階段に「車椅子型昇降機」を取り付ける場合は階段の形状によって施工費用が大きく変わるため、別途見積もりが必要です。
エレベーターの設置費用は本体価格だけで200~400万円、施工費で30~50万円が相場と言われています。
エレベーターは構造上設置できないケースも多くなりますが、費用面で比較しても階段昇降機は非常に導入しやすいことがわかります。
また、階段昇降機の設置には自治体によって補助金や助成金を設けている場合があります。
自治体によって制度の名称や補助される金額が異なるため、設置を検討する場合は役所の窓口に問い合わせてみると良いでしょう。
ランニングコスト
階段昇降機のランニングコストには日常利用する電気代と機械のメンテナンス費用があります。
電気代は利用頻度にもよりますが、平均では月200円程度と割安です。
メンテナンスについてはメーカーと保守契約を結ぶケースが多く、業者にもよりますが年間3万円ほどが相場のようです。
この保守契約には、年に1~2回の無料点検に加えて故障した際びは無料で出張してくれるサービスなどが含まれているケースが多いようです。
ただし、故障時の対応は業者によって大きく異なります。
例えば24時間365日対応してくれる業者と平日9~17時などの営業時間のみの対応となる業者があり、サービス内容によって契約金額も大きく異なってきます。
上階に生活に必要な水回りがあるかなど、利用者の生活状況や利用頻度に合わせて業者を選ぶと良いでしょう。
まとめ
高齢者の一人暮らしは年々増えており、自宅内での転倒事故対策は非常に重要です。
同居する家族がいる場合でも、階段の登り降りの介助は非常に危険を伴うため、階段昇降機のニーズは今後も増えていくことが考えられます。
自治体の補助金などを活用することで設置費用も抑えられるため、足腰が弱って2階への移動が難しくなってきたという方は検討してみると良いでしょう。
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