バリアフリー住宅と聞くと、高齢者が住む家を思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし住宅をバリアフリーにすると、高齢者だけではなく家族の誰もが住みやすい家になります。
今回は、そもそもバリアフリーとはどういった意味なのかを解説したうえで、生活スペースと水回りエリアに分けてバリアフリー設計をするポイントを紹介します。
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バリアフリーとは、英語の「barrier」と「free」を組みあわせた言葉です。
バリアは「障害・障害物」を意味し、フリーは「~がない」という意味を持ちます。
つまりバリアフリーとは「障害物がない」状態を指し、生活の妨げになるものを取り除くことを意味する言葉なのです。
住宅においては、段差をなくしたり手すりをつけたりすることで、快適な生活環境を整えることを指します。
一見高齢者や障がい者を対象としているように思えますが、段差や手すりがあって助かるのはそういった人たちばかりではありません。
小さな子どもや妊婦にとって快適になるのはもちろん、健康な人でも骨折したり病気をしたりといった理由で車イスを使うことがあるでしょう。
住宅をバリアフリーにすることは、その家に住む誰もが快適に暮らせることにつながるのです。
生活空間をバリアフリー設計するポイント
ここからは、住宅をバリアフリー設計する際のポイントを具体的に紹介していきます。
生活空間のバリアフリーについては、
●リビング
●廊下と階段
●玄関
の3箇所について解説します。
リビングのバリアフリー設計とは
リビングは、家族がもっとも長い時間を過ごすスペースです。
家庭内でもっとも事故が多い場所は居間とするデータもあり、床で滑ったり、段差や出っ張りにつまずいたりしての転倒が多く報告されています。
そのためリビングにおいては段差を設けないこと、床材を滑りにくいものにすることが求められます。
段差がある箇所には段差を解消するスロープを設置する、床は滑りにくいワックスを使用する、床の上にはできるだけものを置かないといった工夫が必要です。
床の上にカーペットや絨毯を敷くときにも、裏に滑り止め加工が施されたものを選ぶとズレて転倒する事故を防げます。
廊下と階段のバリアフリー設計とは
廊下をバリアフリー設計するときには、将来的に車イスを利用することを想定し、幅を90cm以上確保するようにしましょう。
廊下に使用する床材も、車イスでも傷がつきにくい硬めの素材を選択します。
あわせて手すりも設置しておくことをおすすめしますが、手すりの握り幅は小さめにしておくと、手が小さく握力の弱い女性でも握りやすくなります。
階段については、段差は低く、踏み板のスペースは広く確保するのが理想です。
ただ、そうすると階段全体でかなりのスペースが必要になるため、予算とあわせて検討しましょう。
階段自体の造りは、直線階段よりもU字型にしたほうがゆるやかな勾配となり、万が一転落したときも一気に下まで転がり落ちる危険性を減らせます。
玄関のバリアフリー設計とは
玄関ドアも、車イスが通ることを前提にするのであれば、90cm以上の幅を確保するようにしましょう。
玄関から家に上がる上がりかまちの段差もできるだけ低くし、靴を脱いだり履いたりするスペースも十分な広さを確保するのがおすすめです。
上がりかまちの横には手すりを取り付けておくと、上り下りがスムーズです。
玄関までのアプローチも、車イスの利用を想定してスロープを取り付けると楽に移動できます。
水回りエリアをバリアフリー設計するポイント
続けて水回りエリアのバリアフリー設計のポイントを紹介します。
水回りは、水を扱うだけに転倒の危険性が高くなりがちです。
また家族の誰もが毎日頻繁に使う場所であるため、優先的にバリアフリーを進めましょう。
水回りのバリアフリー設計については、
●浴室
●洗面所
●トイレ
の3箇所に分けて紹介します。
浴室のバリアフリー設計とは
水回りで最初に紹介する浴室についても、バリアフリーの基本は段差の解消です。
浴室の出入り口には段差が設けられていることが多く、つまずいて転倒する可能性が高くなります。
扉を開けて浴室内に入るときに、ドアを開ける動作に集中してしまうと段差に注意が向きにくくなるためです。
浴槽の深さに注意
浴室では、浴槽の深さにも注意します。
昔ながらの古い浴室には、深いタイプの浴槽が多く見られます。
浴槽が深いと、浴槽をまたぐだけでも大変な労力を使い、また片足を高く上げることからバランスを崩して転倒しやすくなることがデメリットです。
浴槽内で転倒してしまうと、溺れる可能性もあり大変危険です。
浴槽に入りにくいと感じるなら、浅いタイプへのリフォームを検討しましょう。
浴室内にも手すりの設置を
浴室内での転倒を防ぐには、手すりの設置が有効です。
浴室内では、入り口の段差を超える、浴槽をまたぐ、体を洗うために椅子に座るといった、しゃがむ・またぐといった動作を頻繁に繰り返します。
高齢になり体力が衰えると、手すりのない状態で立ってしゃがんでを繰り返すのは重労働です。
バランスを崩して転倒する危険性を減らすためにも、手すりを設置しましょう。
手すりを取り付ける際には、実際に使う人の動作にあわせることも大切です。
お年寄りに実際に浴室内の動きを再現してもらい、必要な箇所や高さを見極めたうえで設置するといいでしょう。
滑りにくい床材への変更
浴室の床材は、滑りにくいタイプへ変更するようにします。
昔ながらの浴室は、床がタイルになっているケースが多く見られるので注意が必要です。
滑り止め加工がされ、また万が一転倒しても少しでも危険を減らせるよう、クッション性のある床材を選ぶのがおすすめです。
洗面所のバリアフリー設計とは
洗面所については、やはり車イスでの利用を想定し、段差を解消したうえで入り口の幅を90cm以上取るようにします。
ドアについては開き戸ではなく、引き戸にすると一人で楽に開閉できます。
洗面台の高さも、一般的な高さだと高すぎて手が届かないかもしれません。
かといって低くしすぎると、ほかの人が使用するときに腰をかがめるのが大変になります。
洗面台については、高さを調節できるものもあるので導入を検討してもいいでしょう。
また車イスで使用することを想定するなら、洗面台の下に車イスが入るスペースを確保することも大切です。
通常の化粧洗面台は洗面台の下がキャビネットになっていて空間がないため、車イス対応のものを選ぶようにしましょう。
もしくは下に収納のないおしゃれな洗面台を、造作で作ってもらうのもおすすめです。
トイレのバリアフリー設計とは
水回りとして最後に紹介するトイレについても、まずは入り口の段差解消がバリアフリー化の基本です。
昔ながらのトイレは水を流して掃除する設計になっていることから、廊下よりもタイル1枚分ほど下がっていることが多いのが特徴です。
トイレの床を廊下の高さとそろえる工事は、便器を外して床を作り直すだけなので意外と簡単に1日で終了します。
トイレについても浴室と同様、立ってしゃがんでの動作を繰り返すことから、手すりの設置は必須です。
トイレットペーパーホルダーを頼りにしているお年寄りは意外と多くいますが、体重をかけることで外れてしまうと転倒するため危険です。
浴室と同じように、トイレ内の動作を確認し、適切な位置に手すりを設置するようにしましょう。
まとめ
住宅のバリアフリー設計について、生活スペースと水回りエリアに分けて紹介してきました。
バリアフリーの基本は、「段差の解消」と「動作を補助する手すりの設置」です。
できる限りの対策を施し、誰にとっても生活しやすい住宅を目指しましょう。
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