相続税の対策として、「生前贈与」という手法があります。
生前贈与を上手く利用すれば、生きているうちに不動産を受け渡し、相続税の課税額を減らすことができます。
当記事では、生前贈与のメリットや手続きの流れ、注意点について解説していきます。
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不動産の相続で生前贈与をおこなうと、相続税を減らすことができるなど、節税対策としてのメリットがあります。
メリットをよく理解するためにも、まずは生前贈与と関わり深い「贈与税」についてご説明します。
贈与税の仕組み
資金の受け渡しの際に発生する贈与税は、「暦年課税制度」と「相続時精算課税制度」の2つの制度があります。
「暦年課税制度」とは、年間110万円までは贈与税が発生することなく、申告も不要とされる制度です。
110万円を超えた金額から、累進課税で10%~55%の贈与税が発生します。
「相続時精算課税制度」とは、利用できる条件もありますが、2,500万円まで贈与税をかけることなく贈与できる制度です。
しかし、「相続時精算課税制度」を利用した場合、贈与分は相続発生時に相続財産として加算されてしまいます。
相続発生時までに納税した贈与税は相続税から控除されるので、「相続税の先払いができる制度」だと認識しておくと良いでしょう。
生前贈与のメリット①:節税対策になる
不動産の相続を生前贈与にするメリットは「節税対策」になることです。
●配偶者控除の特例を利用する
婚姻20年以上の夫婦であれば、配偶者控除の特例を利用することができます。
配偶者控除の特例とは、2,000万円まで贈与税が非課税となる制度です。
さらに、上記でご説明した暦年課税制度も利用すれば、合計2,110万円を非課税にすることができます。
贈与税の手続きは必要ですが、2,110万円以内の不動産の場合、税金をかけることなく生前贈与できるのです。
配偶者に多く資産を残しておきたい方にも、メリットは大きいと言えるでしょう。
●収益物件を相続者の収入にできる
収益物件の不動産を生前贈与しておくことで、収入を相続者のものにすることが可能です。
被相続人の資金が増えることを抑え、結果的に相続税を減らすことができます。
●評価額が低い時期を狙う
評価額が低い時期に生前贈与をおこなうことで、節税対策をすることも可能です。
今後評価額が高くなると予想される不動産は、相続が発生する前に生前贈与するのがおすすめです。
生前贈与のメリット②:相手を選択できる
不動産の相続は平等に分割することも難しく、相続人同士でトラブルになりやすいのが特徴です。
不動産の生前贈与をおこなっていれば、相続時に揉め事が発生するリスクは減ります。
被相続人としても、本当に受け取ってほしい相手に不動産をわたすことができるので、メリットは大きいでしょう。
デメリットもあるので注意しよう
生前贈与はメリットだけではありません。
基本的には贈与税の税率は相続税の税率より高く設定されていますので、場合によっては損をしてしまう可能性もあります。
お持ちの不動産がメリットをどれだけ活かすことができるか、よく検討してみるのがおすすめです。
不動産を生前贈与する流れとは
ここからは、実際に不動産を生前贈与する流れをご紹介していきます。
生前贈与の流れ①:不動産贈与契約書を作成する
口約束でも成立してしまう生前贈与ですが、トラブルを避けるためにも「不動産贈与契約書」を作成するのが一般的です。
最低限以下の項目は契約書に記載すると良いでしょう。
●日付、贈与者と受贈者の氏名(直筆)、実印
●不動産の情報
●誰が、誰に、どの不動産を贈与するのか
●手数料など諸費用は誰が負担するのか
生前贈与の流れ②:登記申請をおこなう
契約書が完成したら、法務局で不動産の登記申請をおこなう必要があります。
不動産の管轄する法務局で申請する必要があるので注意しましょう。
登記申請は複雑な手続きにもなりますので、司法書士に依頼するのがおすすめです。
どうしても費用を節約したい場合は自分でもおこなうことは可能ですが、手間がかかるだけでなくミスのないよう慎重におこなう必要があります。
生前贈与の流れ③:必要書類を用意する
法務局に登記申請をおこなうために、必要な書類を不備なく用意しましょう。
登記申請に必要な書類は以下のとおりです。
●登記申請書
●登記識別情報か登記済証(権利書)
●固定資産評価証明書
●登記原因証明情報(贈与契約書など)
●受贈者の住民票
●贈与者の印鑑証明書
●司法書士に委任する委任状
生前贈与の流れ④:贈与税の申告をする
最後の手順として、贈与税の申告も忘れてはいけません。
贈与税では、納税者が税金を算出し、税務署に申請と納税をおこなうことになります。
手間がかかるからといって、先延ばしにせず早めに申告するのが得策です。
不動産の相続で生前贈与をする注意点は?
不動産の生前贈与をおこなう際には、注意する点がいくつかあります。
事前に注意点をよく知っておくことで、トラブルを避けることにも繋がりますのでよく確認しておきましょう。
生前贈与の注意点①:贈与契約書の作成を忘れない
義務化されていないため、つい忘れてしまうのが「贈与契約書」の作成です。
どんなに信用できる相手との契約だとしても、後々のため贈与契約書を作成することは大切です。
お互いのためにも、「贈与契約書」の作成を忘れないよう注意しましょう。
生前贈与の注意点②:贈与税の制度について
相続税がかかる方の場合は、年間110万円の控除が受けられる「暦年課税制度」がおすすめです。
しかし、「相続税はかからないけど、1年間に110万円を超える贈与を受けている」という方は、「相続時精算課税制度」を利用するのもおすすめです。
どちらが結果的にお得になるのかは、ケースによって異なります。
どちらの制度を取るべきか、一度プロである税理士に相談すると良いでしょう。
生前贈与の注意点③:申告期限
贈与税の申告期限を過ぎないよう注意しましょう。
贈与税の申告期限は、2月1日から3月15日までとなっています。
納期限は3月15日なので、2月のはじめには申告手続きを進めるのがおすすめです。
期限を過ぎると延滞税などが発生し、損をする可能性もあります。
生前贈与の注意点④:遺留分侵害額請求の可能性がある
「遺留分侵害額請求」とは、相続を受ける権利のある法定相続人が最低限の相続財産を受けるために、相続財産を取り返すことを言います。
遺留分侵害額請求ができるのは、法定相続人のなかでも、配偶者と子、直系尊属です。
法律で決められている権利なので、たとえ生前贈与していたとしても遺留分侵害額請求を止めることはできません。
自分が財産を受け取ってもらいたい子どもに生前贈与をしても、他の子どもが遺留分侵害額請求をする可能性もあることを理解しておきましょう。
生前贈与の注意点⑤:相続開始前3年以内の贈与加算
節税対策として生前贈与をおこなったとしても、相続開始前3年以内の贈与だった場合は相続財産に加算されてしまいます。
結果として生前贈与はなかったこととして計算されてしまいますので、注意が必要です。
ちなみに、メリットでご紹介した「配偶者控除の特例」を利用している場合は3年以内の贈与加算は対象外になります。
まとめ
不動産の相続を生前贈与するメリットや流れ、注意点について解説してきました。
生前贈与は相続税対策の手段として、メリットも多くあります。
その反面、贈与税が課せられるなど注意点もありますので、仕組みをよく理解してから手続きを進めるようにしましょう。
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